THE
WORLD ACCORDING TO BUSH
ドキュメンタリー映画が元気
ゴダールに「敵を利するだけ」と言われても、ネオコンの存在が抜け落ちてる、あるいはプロパガンダと非難されても、マイケル・ムーアが今年のカンヌを象徴する存在だったのは間違いない。隠された事実を伝える手段として、ドキュメンタリーのおもしろさを広く世に知らしめたのは彼だった。
カンヌでは「華氏911」以外にも興味深いドキュメンタリーの発見があった。ブッシュ政権がいかに情報を無視、または操作して、イラク戦争に突入したか、CIA
や国防省の専門家の証言で検証する「 UNCOVERD :イラク戦争」も、そのひとつ。これはネット上で活動する市民組織 MoveOn が製作で協力する。
ところで、ブッシュとその政権の政策に反対する一連のドキュメンタリー作品、特にムーアの「華氏911」の一助となるフランスのドキュメンタリー映画が6月23日パリで封切られた。監督は、「アメリカは大好きだが、フィクションよりずっと不思議な実話なので作ることにした」と話す、チュニジア生まれのスイス人、ウイリアム・カレル。ジャーナリスト、エリック・ローレントのブッシュ政権に関する2冊の本に影響された「ブッシュの世界」は、彼にとって5作目の映画だ。
合衆国の見通しと、キリスト教右派の宗教的計画の成就が最終的ゴールの、ネオコンのいかに少数グループが合衆国の外交政策を支配してきたかがハイライト。計画と言うよりイスラム世界を支配する夢と言うべきか。
冒頭、映画はワシントンの大劇場でイスラエル国旗を掲げて「大イスラエル」を合唱する集団を見せる。「この人たちのいずれもユダヤ人ではないというのをどうしても示したかった。イスラエル国家樹立が旧約聖書の予言の実現で人類救済の始まりだと考える全員がアメリカ人。よってイスラエル支援は神聖な義務となる」
「これがブッシュ指揮官の保護の下、合衆国を運営するネオコンの考え方」と監督は補足する。またカレルはこれまでの米イスラエル関係おいて前例のない、合衆国大統領がイスラエルのシャロン首相の訪問を9回も受けていることを指摘する。
映画「ブッシュの世界」は、ネオコンの宗教計画が主にブッシュ家に深く定着する経済的利害関係に基づくのを証明するため、父と祖父と「慎ましやかな名家」の歴史を紹介する。祖父プレスコット・ブッシュはナチの会社を経営して金持ちになった。繁栄はブッシュ一族に受け継がれ、兵器産業に投資される。ファミリーが所有するカーリル・ミサイルはイラク戦争で使われた。レーガン政権の副大統領、そして大統領パパブッシュはサダム・フセインに武器を送り資金を供給した。彼が細菌戦の菌株のイラクへの輸送を許可したことで、イラン軍やクルド人に化学兵器で攻撃を加える力をこの国に与えた。
父と息子は悪の権化を晩餐に招くばかりか、頻繁に悪の権化のテーブルに招かれた。ビンラディン家とブッシュ家は常にビジネスパートナーだったし、テロリストの首長の家族は間接的にジョージ・ブッシュの政治キャリアに資金を供給した。911の攻撃以降もこの異様な協力は続いている。イラク戦争で使われた戦車とミサイルの会社ブラッドレーは、パパブッシュが上級顧問の米国最大の非公開株投資会社カーライルとビンラディン家が管理する会社によって作られた。カーライル社内ではブッシュとビンラディンは同僚である。
ジョージ・ブッシュの出世で、ブッシュ家のまったく罰を受けないという雰囲気は頂点に達している。
映画の脚本は十分証拠立てられた事実と目撃者の記述に基づく。あいにく役者は架空の人物ではないどころか、両手に世界の運命を握った男とそのチームだ。
30年のつき合いの小さなグループがアメリカの外交政策を乗っ取り、それを綿密に検討して、あらゆる反対勢力を黙らせた。はっきりと示された世界戦略の陰に隠れるのは、経済的利権ばかりか、もっと不穏にさせる局面、大統領のいわば直属の側近である過激なキリスト教右派によって始められ、ブッシュが完全に一体感を持つ、宗教的計画だ。ホワイトハウスに着任して以来、宗教がこのうえなく重要な役割を獲得している。
これまで世界の民主主義国家の歴史は、罰も受けずにひとりの男とそのチームがこれほど尊大にふるまうのに立ち会ったことがない。国際法を平然と無視し、先例のない利権のグループ分けを作り出す。そしてワシントンと相容れない残りの世界はほんの添え物に制限する。
「20回もウォルフォウイッツに会おうとしたが、一切言明はしないと拒否された」とカレルが明かす。チェイニーに至っては知り合いに近づくことさえ許されなかった。
▲参考資料:IslamOnline.net 24 June 2004 FLACH FILM by William Karel
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