ロードマップはどこへ行く

9.11以降、イスラエルのシャロン政権はブッシュ大統領の「テロに対する戦争」に便乗してパレスチナ人を好きなときに好きなだけ殺し、好きな理由をつけて好きなだけ逮捕して、家を潰し、彼らの土地をぶんどり続けてきた。まるで景観をすっかり変えてしまうことでそこにある文化や歴史、人々の暮らしのすべてを人の記憶から抹殺してこの世から消し去ろうとしているかのようだ。
今では殺されるのは武器を持たないパレスチナ人青年や少年ばかりではない。アメリカ人もイギリス人もイスラエル政権にとって都合が悪ければ遠慮なく殺される。彼らはパレスチナ人と同等なまでに格下げされている。

米英軍のイラク侵略戦争の直前から最中にかけて国際人権活動家に対するイスラエル軍の暴挙がエスカレートした。特に標的にされているのが国際連帯運動ISM だ。
3月16日ガザで罪のないパレスチナ人の家屋を押し潰そうとするブルドーザーの前に立ちはだかり大声で説得を試みたせいで無惨にも殺された人間の盾として活動するアメリカ人、レイチェル・コーリーが所属した国際人権組織だ。4月5日にはアメリカ人活動家ブライアン・アヴァリーがマシンガンで顔面を銃撃され重傷、4月11日にはイギリス人活動家トーマス・ハーンダルが頭を狙撃されて脳死状態になっている。そして5月9日、ベツレヘム郊外のベイトサホールにあるISM の事務所がおよそ20台の軍用車両やジープ、大型兵員輸送車で乗りつけたイスラエル治安部隊、国境警察、民間警察官によって襲撃され、3人の女性活動家が逮捕された。コンピュータ機器が没収されて兵士らは事務所の機器を破壊し、荒らした。またすぐ近くのパレスチナ友好親善センターの事務所も襲撃されてファイルやCD 、写真のすべてが略奪される。
前日、イスラエル治安部隊から彼らの軍事行動が正当な行為であることを認めさせ、死を含め、軍事行動によって生じるすべての事態についてイスラエル軍の責任を問わないことを誓約させる「宣誓書」がガザ地区で活動する人権団体のもとに届き始める。宣誓書にはISM に対する誹謗中傷も含まれており、ISM はイスラエル軍の軍事行動の破壊を目的としているとして、そのような組織とは接触しないことも誓約させるものだった。これにはイギリスのストロー外相も「受け入れられない」と反発した。
イスラエル軍がガザ地区から国際活動家やジャーナリストを排除しようとしていることは明らかだった。1年前、彼らは西岸地区に大規模侵攻を行ってジェニンの大虐殺を含む西岸自治区の破壊と殺戮を行った。国際法を屁とも思わぬ暴虐行為を監視する人々を追いやって国際社会から見えないところでガザへの大侵攻を準備しているに違いないと人権団体は危惧する。ISM は即刻声明を出して「イスラエル政府は公然と国際人権活動家に対する戦争を布告した」と非難し、「ISM はパレスチナの地から去るつもりもなければ、その活動や努力を控えるつもりもない」と宣言した。
これに連帯するイスラエルの反占領平和運動と人権運動の団体が全世界に向けて抗議行動を呼びかけた。5月11日にはテルアビブで抗議行動も計画する。

▲参考資料:オブザーバー紙4/20 2003 byエドワード・サイード
Anti- Occupation Pro- Peace Report No.29 5/11 2003

活動家の葬列をイスラエル軍が粉砕

3月16日ガザでイスラエル治安部隊IDF の兵士のブルドーザーに頭蓋骨と胸部を二度潰されて殺されたアメリカ人平和活動家レイチェル・コーリーの追悼式を粉砕しようと18日イスラエル軍が催涙ガスと暴動鎮圧用手榴弾で奮闘した。
星条旗で覆われた担架を担いで数十人の外国人と千人のパレスチナ人が哀悼の印としてラファの難民キャンプを行進した。
目撃者のひとり、カンサスシティ出身の若い活動家ジョー・スミスによると100人ほどがカーネーションの花を供えて小さな記念碑を立てようと集まっていたところに最初の兵員輸送装甲車が姿を表した。「やつらは催涙ガスを投げて煙らせておいてから手榴弾を投げつけてきた。しばらくして僕らは苦しくなり、その場にへたり込んだ。すると戦車がやってきて威嚇発砲したんだ。パレスチナ人の多くが脅えた、特に発砲はパレスチナ人を走らせて催涙ガスはひどく興奮させた。でも、大部分がそこにじっとしていた」
また別の目撃者は軍が追悼式を粉砕するのに失敗したと言った。「戦車が来てそこに集まっていた人々に向けて催涙ガスを投げつけたとき、平和活動家の核となる一団が国際連帯運動ISM の横断幕をフェンスに取りつけた。催涙ガスでなんとか彼らを止めようと戦車が躍起になって追いかけたけど、風が軍に味方しなかった」と彼女は言った。
コーリーを殺したブルドーザーも含め、護送軍団がその区画を通り過ぎるとき緊張が一層高まった。
「意図的とは言わないまでも、ずいぶん無神経だったよ」とスミスは言った。 「どこか他の建物を破壊してきてベースに戻るのにそこを通らなければならなかったにしてもだよ」 事件の調査をしていたと軍は言った。

そして合衆国では憎悪の的と反パレスチナ感情をミックスした感情を表すのにコーリーの殺害が使われていた。メリーランド大学の学生新聞、The Diamondback はコーリーの死をからかう社説のようなマンガを印刷した。その下には「テロリストの一味を護るためにブルドーザーの前に立ちはだかる」と愚鈍な定義づけがついている。
とはいえ、SUSTAIN (合衆国の税金で賄われるイスラエルへの援助をいま止める)の活動家らはイリノイ州にあるコーリーをひき殺すのに使われたブルドーザーのメーカー、キャタピラーコーポレーションがイスラエル軍にそれを売るのを止めるよう迫っている。 シアトルタイムズ紙の報告によれば、コーリーの両親が娘の死の調査を米国議会に要求する一方で議会へのロビー活動も始まっていた。

またニューヨークをベースに活動する団体、Jews Against the Occupation (占領に反対するユダヤ人)のメンバーが昨日(5/18 2003)スターバックスのCEO ハワード・シュルツがウエストバンクとガザ地区のイスラエル軍占領の引き延ばしを支援するのに抗議してスターバックス系列の支店を占拠した。 「今日はユダヤ民族を虐殺から救った勝利を祝うプリム祭です。イスラエルのパレスチナ人への攻撃に反対と言うことと、合衆国の支援がそれを可能にさせているんだとはっきり言うことで、私たちはその勝利に名誉を与えます」とメンバーのルイサ・ソロモンは説明した。

▲参考資料:Common Dreams NEWS CENTER 3/20 2003 IndyMedia Center 3/19 2003 ガーディアン紙UK 3/19 2003