OUTING:
"隠れゲイ"を恐怖に陥れる同じゲイ仲間によるアウティング(告発)、いわゆるゲイ狩りが起きている。でもこのアウティング作戦はゲイ運動がちっとも進展を見せないことに業を煮やした結果生まれたもので活動家に言わせれば世間を偽っている隠れゲイの罪悪感を軽減できるものだった。
アウティングを巡る論争が大問題にまで発展するきっかけはレズビアンとゲイのニューズマガジン<アウトウイーク>に掲載された2月にエイズで死去した出版界の大物マルカム・フォーブズの隠れゲイ生活の暴露記事だった。フォーブズは雑誌<フォーブズ>の発行人であるばかりかウオールストリートの株取引で巨額の利益を上げたことで知られるアメリカの億万長者、このフォーブズとドナルド・トランプは金権時代80年代のアメリカを代表する人物とされている。
有力紙でこの記事を取り上げたのはロサンジェルス・タイムズ、USA トゥデイなど数紙だけ。マスコミの姿勢も問われており、ニューヨーク・タイムズをはじめとする有力紙はドナルド・トランプの女性スキャンダルを暴露するには抵抗はないがゲイが絡むことには道義的問題が気になるようだった。遺族に対する思いやりとか言うが、それ自体がゲイやレズビアンの中傷にならないだろうか。 ゲイとはそんなに不名誉なことなのか。ゲイの活動家が指摘するように、"まともな社会" のゲイに対する見方にはいまだに抜き差しならない偏見が潜んでいる。
ところで、フォーブスの婚約者エリザベス・テイラーのパニックはどれほどのものだったか。まさにアンディ・ウオーホルのお墨付きクイーン!ならではのものにしてもだ。 日本ではイギリスの<ニューズ・オブ・ザ・ワールド>が掲載したマドンナのレズ・スキャンダルを<東京スポーツ>が一面で報じていた(5/16,1990)。
▲TAMA- 2 掲載、1990