DINKINS :
人種対立の調停者として黒人で初めてニューヨーク市長に選出されたディンキンズが今その指導力を問われている。
「ボイコット、ボイコット」と連日ブルックリンにある食料品店レッドアップル前の路上で黒人グループの激しいシュプレヒコールが続く。コリアン(韓国人)マーケットに対する黒人の不買運動はもう4ヶ月続き、両人種間の緊張がピークに達していた。
事件の発端は客のハイチ系黒人女性がチェックのためバックを開けるよう店側から求められたのを拒否したところ暴行を受け病院に運ばれたことだった。黒人の住人側はこれを差別と糾弾し、この店と筋向かいのコリアンマーケットの閉鎖と犯罪の捜査を求めた。これに対しコリアン側はいわれのない人種差別と反発、一緒に生きていく住民であることを訴えたいだけだと言う。
背景には急増するコリアンマーケットへの嫉妬や経済的脅威への畏れがあり、黒人を雇わずに身内で経営するアジア系住民の人種的協調のなさや黒人の歴史に対する理解のなさといった潜在的不満がある。まさにスパイク・リーの映画<ドゥー・ザ・ライト・シング>の対 コリアン版を見ているようだ。
▲TAMA- 2 掲載、1990