QUEERCORE :

ルールなし、限界なし。最も反抗的なホモカルチャーから爆発する本物のメディア現象、クイアーコアは低予算で創るパンクなゲイのファンジンで盛り上がるアメリカのムーヴメントのことだ。
1980年代初めに少数のファンジンでスタートしたクイアーコアが映像作家、バンド、パフォーマンス・アーティスト、作家、ファン雑誌の編集者などを取り込んだ名前のあるムーヴメントに発展する。HOLY TITCLAMPS / JD'S / BIMBOX / FERTILE LATOYA JACKSON MAGAZINE / HOMOCORE / SCREAMBOX などはそのほんの一部。コピーあるところにファンジンを敏感に組み立てるホモの子供たちが確実にいた。
活気のないトロントで独創的なファンジンのひとつJD'S を始めたブルース・ラ・ブルースとパートナーのGB ジョーンズは「パンクはホモを叩きのめすから大嫌い。ホモは弱虫だから大嫌い」とその中間にあるものを作って合衆国とカナダ全域にそれを真似たファンジンの爆発を引き起こす。主流を拒否するアナーキズムの延長線上にあるクイアーコアは世代を越えて遠く離れたところで役割をこなす怒りに燃える変わり者を結びつけた。
1989年から続けている別のトロントのファンジンBIMBOX は初めて男性と女性の寄稿を対等に発表した雑誌だった。彼らは女性のかかわりを非常に重要と見なしてなんであれ女性嫌いを目にするとそれに立ち向かった。そこから派生したプロジェクトでは女性を締めだして女性は遺伝学上の誤りだと言った作家ウイリアム・バロウズを追跡する。
GIRL GERMS / BIKINI KILL / BRAT ATTACK / CUNT といった様々のレズのファンジンではそれに関係するほとんどの女性がレズビアン・パンク・ムーヴメント「RIOT GRRRL 」の一翼をになうパンクバンドに属した。彼女たちは性を区別する境界線をあやふやにして女のからだを使うことに異議を唱える。イギリスのインディーキッズのほとんどがこれらのバンドに精通していた。
19歳の映像作家、典型的なRIOT GRRRL のシャーディもポスト(snail mail )と電話を使った結びつきでバンドとファンジンにかかわるひとりだ。彼女はゼロックスの代わりにカメラPIXIL を使って個人的で内面的なカムアウト映画を作る。そしてファンジンのために合衆国中を旅して回り女の子にインタヴューする。「クイアーであろうとなかろうと男の子は女の子の活発な行動に脅かされる。男の子は女の子を見かけで判断することが多いし女の子も向上心に欠けた子が多い。たとえ行き着くところが地獄でもやれる女の子であって欲しい。旅すること、事を起こすこと、女の子のパワーを結集することが大事」
ダイク(女のホモ)が書くダイクのためのファンジンSCREAMBOX は「快感とはこういうもので快感はこうやって得るもの」と指図する息苦しいフェミニズムに反発する。そして他の多くのファンジン同様に友達に出会うために作られた。
クイアーキッズの多くが手紙で知り合った友達に法外な時間をかけて会いに行き、ほとんどの子が友達の輪から自分の家族を構成することに賛成する。
規則に従わず、紋切り型のゲイとレズビアンに媚びないクールなコピーが作られて10年が経過しクイアーコアは認定済みのメディア小僧になる。それでも才能ある創案者らは最初の挑戦的スタンスの再確認を怠らない。「創造性と完成には終わりがない。僕たちは独自の世界を創造してきた。同化はしない。基礎なんかないから常に自分を再構築し続けて異議を唱え続ける」

●参考資料:i - D THE SEXUALITY ISSUE 1993 (TAMA-13 掲載 HOT 1993)