PROPHET ：

予言者テレンス・マッケナは自然との触れ合いを失っている私たちがそのきずなを回復しなければ大変なことになると信じている。
そして自然とのきずなを回復する唯一の方法が幻覚を引き起こすサイケデリック・ドラッグとシャーマニズム（まじない師を通じて交霊する原始宗教の一形態）だと彼の新しい本「FOOD OF THE GODS 」の中で主張する。

作家であり哲学者、民族薬理学者のマッケナが言及するのは安易なトリップや危険なアシッドのことではない。それよりも奇妙なマッシュルーム料理だとかアマゾンのシャーマンが育ててる植物を煮沸するためのレシピのことで有史以前からシャーマンの儀式に使われてきた恍惚とさせる物質、DMT のような自然植物の幻覚剤について語っていた。
西洋文化と違いシャーマン文化が自然とのきずなを損なわずにいることに注目したマッケナはシャーマン文化のなかで暮らしながらそれを調査する。
１９６７年DMT と出会った彼はいわゆるドラッグ体験とはまったく別の過去とか未来から切り離された世界に入って科学と哲学を研究する必要にかられる。彼にとり２０世紀の危険なドラッグとは石油・プロパンそしてウランのような核分裂物質のことだ。これらの物質の習慣的使用を一変させる能力のない私たち人類は厳然たる死に向かって破滅していた。
「私たちはオゾンの破壊、海洋の毒性化、全体的政治不安そして大きな文化危機の流れのなかで死のトリップをしてる。これは沈没する潜水艦だよ、役人が指図してみんながそれに従うフリをしてる場合じゃない。私たちの行為のその影響の重大さに私たちは感情的に麻痺してる。環境を破壊して私たちの子供の未来を奪ってるんだ。変化のときだよ」
古代復興としての社会ではどうなるのか？マッケナの提示はシャーマニズムの言葉で話すことであり幻覚を引き起こすエクスタシー、性の耽溺、衝撃の音楽という世界への回帰だった。
私たちは生きた神秘としての自然感覚を取り戻し、幻覚を引き起こす草木を通して植物の世界との共生関係という古代の正しい認識を回復しなければいけない。
でも誰もがみんなシャーマンになる必要はなかった。シャーマンは手本だ。エレクトロニック文化では私たちはこの地球村にシャーマンを創り出すことができる。
彼の考えでは、６０年代のロックンロール、９０年代のハウスミュージックがその役割をになうものだ。
「幻覚剤は言葉を開発するための触媒の働きをするんだよ。本物の意識の拡大が言葉の進化を強要する。６０年代の遺産はその身構えと言葉にあった。自分らしいことをする、心のヴァイブレーションを感じる、自己中心的な行動、陶酔する.....などのね」
「この先世界はもっと奇妙になって混乱とパニック状態になっていく。並はずれたことはなにも行わないでこの惑星は浄化されて非物質化した聡明な意識を先に運ぶ準備をする。どうやって行うのかは具体的には言えないが、ヴァーチャルリアリティ、幻覚剤、テクノロジー、幻覚で見えたものに駆り立てられた科学によってなどそれは多方面から起こりうることだよ。私たちは肉体から意識を切り離してカモメやアメリカスギの中に入ることができる、まさに自然のなかに意識を拡散させる方法を見つけるんだ」
人気が高まる一方のマッケナはレクチャー、セミナー、ワークショップで世界中を旅する。追従者や信者は望まない。彼が望むのは仲間と旅人と探究者だけだった。

●DMT は人間の脳の中に自然に現れる神経伝達物質のこと。
▲著書「FOOD OF THE GODS 」by Terence McKenna : RIDER BOOKS
●参考資料：i- D THE PARADE ISSUE
●TAMA- 11 掲載、１９９２年FALL