MONDO2000 :

フィリップ K ディックやウイリアム・ギブソンのようなSF 作家のヴィジョンに近い編集長、RU シリアスは自分のカリフォルニアの季刊誌「モンド2000」のことを「現在の西欧の時代精神をリードする先端にあるもの」だと説明する。
それはサイバーパンクの感覚にぴったりはまった雑誌で、あるメディア評論家は「90年代のローリングストーン誌」と呼ぶ。
シリアスの頭の中はまだ夢にも思わないようなテクノロジーを使うロボットとか人間マシーンで占められている。そして世界中に及ぶ強力な均質化の波にどう文化的アイデンティティを維持していくか、これが私たちの直面している問題だと信じている。
地球の国々がますますひとつにつながると同時に国民はその文化的そして国家的アイデンティティに以前にも増してしがみつく。そして未来はギャングやセクトやネットワークを持つグループなど同族意識の組織によって特徴づけられる。
またワールドミュージックに見られるようなひとつの文化から別の文化にクロスする受粉作用が大いに活発化する。シリアスは「ヒップホップ族とサイバーパンク族の出会い」という初のワークショップを取りまとめていた。
アメリカ大手の出版社が彼らの感覚に注目し始める。ハーパー・コリンズ社は「近未来のためのユーザーガイド」の編集を彼らに任せた。
もっと核心をついているのが「これに影響された今のティーンエイジャーが20年後に何を作るか」に関する見解だ。
現に次の新人類が確かに存在するという実感がある。サイバースペースを自由に動き回るニューロ(神経系)宇宙の旅人のことだ。

●TAMA- 7 掲載、1991年