WHO SHOT RUDY? :

一部では人をむやみに殺す「サウンドヴューの肉屋」と呼ばれるニューヨークの市長ルディ・ジュリアーニが束になったマイクロフォンの前に立ちトレードマークのせせら笑いを浮かべてマルコム・ファーガソンは前科がなかったディアロとはわけが違う、つかみ合いの最中に武器を持たない男の後頭部を至近距離から撃って射殺した警官リヴェラは本物のヒーローだと断言するのを見れば誰だって抗議の最前列に並びたくなる。
ディアロが射殺された場所からわずか数ブロック離れたところでやはり武器を持たないファーガソンが殺されたという予想外の恐ろしい展開が前科者を公民権運動の殉教者として美化するのに市長の支持者は気をもんでいる。
常習的な犯罪者だった(最近は改心してまともにやっていたとWCBS-TV に母親は語る)マルコムF と呼ばれるようになるアフロヘアーのヤギひげが殺される前にディアロの公判結果に抗議する運動の最前列にいるのを見ても友人たちは驚かなかった。
「財布が銃に豹変したって途方もない釈明を陪審が信じるような不公平がまかり通るならどんなワルでも政治的になるだろうよ」
彼は昨年ドラッグで逮捕されたとき警官に手を折られるという残虐行為に遭い、市を相手に訴訟を起こしていた。
抗議運動で待ち構えていた警官に逮捕されたとき一晩彼と一緒に独房で過ごしたジョシュは、「ディアロを射殺した警官が刑務所に全く入らなかったのに僕らがこうして入っている。どんな気持ちでいたか想像つくでしょう?ファーガソンとはジュリアーニの方針のせいで公民権運動が衰退していくことについて話し合った。独房にいる全員が同じ怒りと渇望を分かち合った」と言う。ファーガソンが殺されたのはそれから5日後だ。
Screwball というグループが昨年売り出したラップ「Who Shot Rudy? 」はマイノリティ社会が大喜びすること請け合いのジュリアーニがシティホールで射殺される内容の歌だ。
ジュリアーニはこれを聴いた子供を戸惑わせて人に迷惑をかける歌詞だと言い、これを書いたジョーンズはラップは刑務所に閉じこめられたことを含め彼自身の法律での苦労を歌にしたものだと言う。
市長が悲嘆に暮れるファーガソンの母を抱きしめるなんてことは誰も期待していない。母の支援者らは人生には皮肉が一杯(だから市長が撃たれることだってある)と彼女を慰める。

▲参考資料:VILLAGE VOICE 2/22, 2000(TAMA- 27 掲載、2000 HEAT)