PISCICIDE:

アメリカ東海岸で発見された新種のプランクトン、フィエステリア・ピシシーダ(魚殺し)は普段はアメーバーの姿で水底にいてバクテリアや藻を食べたり殻をかぶって休眠してるくせに、生きた魚に反応すると鞭毛を出して水中を泳ぎ出し、このとき出す毒素のせいで魚を大量死させる。
少なくとも24の姿に変身するそれは人に記憶障害や皮膚炎、呼吸困難、頭痛をもたらすこともわかっている。
長い間、地球の底辺でひっそり生きてきたのが水質汚染をきっかけに大発生した。地元の市民と観光業界を巻き込む騒ぎに発展した発生地は淡水と海水が混じるよどみやすい閉鎖的地形でリンの鉱脈や家庭、養豚場からの排水が流れ込む場所でもあった。
私たち人類は私たち次第で突然脅威に変身する想像を超えた微生物とこの地球をシェアしていた。

▲参考資料:朝日新聞 99/8/30 川が死で満ちるとき:草思社(TAMA- 26 掲載、2000 SPRING )