HARMONY KORINE:

一種の肥満病に悩む映画製作に一石を投じる試み、DOGMA95 のもとで作られた初のアメリカ映画{Julien Donkey- Boy }が昨年ベネチアに続きロンドン・フィルム・フェスティヴァルでも上映されたハーモニ・コリンに話を聞いてみよう。映画にはクロエはもちろんドイツの映画監督ヘルツォークが出演する。
どうなの今度の映画は?
「僕の精神分裂病のおじさんの話に基づく映画で、最高の作品。反応が非常に怖かったよ、だってこんな肯定的リアクションは初めてだったから」
どこがDOGMA ルールなの?
「僕らは同時に30台のヴィデオカメラを据えて、撮影してるのがわからない情況に俳優たちを置き、その様子を盗み撮りした。全部即興。必要最小限の脚本で始めて最後には70時間分のフィルムになった。DOGUMA ルール「簡素」はどんな映画トリックにも頼れないってことだから30台のカメラとそれを動かす30人をダブらずに撮影できるところに配置しなくちゃならなくて、まるでチェスゲームのようだった。それに徹底的映画体験になるようなまったく新しい映画、終わっても絶対に「完」にならない映画を作りたかった。映画と言うよりそれは絵に見える」
別の映画{Fight Harm }はどうした?
「両足首と肋骨を折ったから、しばらく待たなければならなくなった。3度も暴行と殴打で告訴された。この国じゃどんな軽罪も三振アウト制で3度目には終身刑で投獄される。刑務所に行くのは真っ平だ」
またどうして?
「映画を90分の異常なまでの徹底的暴力にしたくて、クソを垂れ流すほど僕を殴らせた。バスター・キートンと殺しを実演するスナッフ映画を掛け合わせたような最高に笑える映画にしたかった。ユーモアとは悲劇なんだ」
どんなふうにやるの?
「僕が死にそうでない限り、どうひどくやられようと誰も喧嘩を止めてはならないというのが映画のルール、あと僕は最初のパンチを出せない。ゴールは統計上の全人種と男性女性ゲイと喧嘩すること。太い二人のレズとアラブ人とニグロと二人の白んぼとはもうやったよ。でもどちらかが意識を失うか動けなくなるまでに4分しかもたない。これまで15回やって編集してみたら25分にしかならない。つまりあと60回は喧嘩しなくちゃならない。とてももたないとわかったよ」
一番ひどくやられたのは?
「ナイトクラブの用心棒。彼とは延々と闘ったよ。警察署に連行されて調書を取られてるとき足下に目をやると足首から骨が突き出てた」
その価値はあったの?
「もちろん。全部撮影したからね。どの喧嘩の後もプロデューサーが飛び出してって僕をさんざんぶちのめした男に向かい権利放棄書にサインしてくれと頼むんだ。告発を迫ったやつも全員サインするんだからおかしいよ」
ガールフレンドのクロエ・セヴィーニはどう思った?
「ひどく興奮してた、それに僕の家族は僕が自殺しようとしてると思い、精神病院に収容させようとした。でも僕には自分のしてることがわかってた」
ソニック・ユースのヴィデオ撮影を一緒にやったマコーレ・カルキンが好きと言うコリンは最近、カルキンの写真集「The Bad Son 」を作る。
「ニューヨークはむかつくほどつまらない」とコネティカットの河のそばに一等地も買った。

▲参考資料:i-D oct.1999(TAMA- 26 掲載、2000 SPRING )