ALL ABOUT MY MOTHER:

女優ジーナ・ローランズ、ベティ・デイヴィス、ロミー・シュナイダー、そして母になりたいあなたに捧げるペドロ・アルモドヴァル監督の13作目{ALL ABOUT MY MOTHER}はあからさまにメロドラマ風の母性愛を祝賀する映画だ。
いつも通りカラフルでポップな背景、おかしいほど誇張されたホモのキャンプなコメディ、率直な性衝動と監督をアートシアターのスターにした外観上の装飾をすべて備える一方で映画は95年{私の秘密の花}で示されたアルモドヴァルの別の側面、大まじめな調子で描かれる。
テネシー・ウイリアムズ、50年代の銀幕メロドラマ+ジョン・カサヴェテスの{オープニング・ナイト}の要素をブレンドする映画は生涯の情動を短期間のうちに融合させながら4人の女、遺された母、レズの舞台女優、もちろん純粋な心の持ち主の性倒錯の娼婦、妊娠したHIV 陽性のシスターの友情を紡ぐ。 日本でアルモドヴァル映画が過小評価されがちなのは激しい感情表現を軽蔑すると同時に何事にも寛大さに欠ける国民性のせいだろうか。
{欲望の法則}は90年代のベスト10に入る衝撃の作品だし、98年の{Live Fresh }は心を揺さぶる秀作だ。全体的に低調だった昨年のカンヌ映画祭でこの娯楽性に富むとても寛大な映画が絶賛された。

▲参考資料:i-D sep.1999 NEWSWEEK '99 (TAMA- 26 掲載、2000 SPRING )