DOGMA95:

90年代の映画製作業界は一種の肥満病に悩んでいる。
脚本の貧しさを隠すために特撮やデジタル効果を導入して感覚が麻痺した観客をごまかしている。
そんな傾向にデンマークの映画監督数人が映画の原点に戻る新たな映画作りのルールを設けた。それが「ドグマ95」だ。中心になるのがラース・フォン・トリアーとドグマ#1となるソニーのデジカメで撮影した{セレブレーション}の監督トマス・ヴィンターベアだ。
{セレブレーション}は画質が粗くピントも甘い。無造作の編集がかえってリアル感を増し映画の主題、家族崩壊の危機に直面するにつれ撮影も崩れていく。撮影はロケ、サウンドはアフレコがだめ、カメラは手持ち、照明は自然光などの規則に縛られても技術の圧迫からは解放される。{ガンモ}のハーモニー・コリンも挑戦するとの噂だ。
同じようにセットでない景色の音や光、日常生活で交わされる言葉を頼りに映画を作るハリウッドの対極にあるイランの監督アッバス・キアロスタミはこう言い切る。「アメリカ映画は敵意と特殊撮影を除くと何も残らない。そういう映画は人を最も疲れさせる」

▲参考資料:AERA8/10 朝日新聞10/9 1999(TAMA- 25 掲載、1999 CHILL )