REEFER
MADNESS:
30年代の「マリファナの狂気」時代より重い刑が執行されるのが州によっては当たり前。いったいどうして、銃で人を殺した場合より重い刑をマリファナ密売者に下す社会になったのか。
いま、世界中で地下経済が肥大化している。この巧妙な仕組みを生みだしたのはアメリカだ。このアメリカ地下経済のマリファナ・奴隷労働・ポルノ・マネーロンダリング・脱税の実態を暴いた「巨大化するアメリカの地下経済」の著者、ジャーナリストのエリック・シュローサーが指摘するアメリカの負の部分。
米国はおかしい。
「米国でマリファナを100株栽培すると懲役5年の刑を受ける。一方フロリダであった事件だが、不法移民を農場に鎖で監禁して強制労働させた雇い主の刑が3年だった。大統領の弟、フロリダ州知事ジェブ・ブッシュは農業関連産業と強い利害関係がある。フロリダで、よく似た強制労働事件が最近、6件起きている」
マリファナはアメリカの若者文化に深くなじんでいる。ポットの匂いは高校のパーティには付き物だから、たいていのアメリカ人はそれ関連の罪が実刑につながることはまずないと考えている。
「マリファナに手を出すのは中南米系の移民、黒人、貧困層、ヒッピーに多い。こうした階層を敵視する現政権は、大企業には寛大に臨む。この偏りが地下経済への対応にも表れている」
「建国以来、この国の思想風土には禁欲的蓄財を尊び、冨は徳の表れと考えるピューリタニズムの傾向と、王権や教会の権威に屈しないリベラルな思考が含まれた。ここ25年はピューリタニズムが勢いを増して、金儲けが正しいという風潮が強まる」
ブッシュ政権もその延長上に位置づけられる。
「アシュクロフト司法長官は司法省内にあった半裸の女神像の胸を布で隠すよう命じた。勤労を妨げるとしてセックスやドラッグを嫌悪するピューリタンの倫理観を素直に表している。利潤のためなら独占も否定しない」
「BSE で問題になった精肉業界のトップ4社の独占も進んでいる。独占で巨大化した企業がブッシュ政権に影響力を強めている。これほど企業に支配された政権は米西戦争当時のマッキンリー大統領以来だ。その体質は企業社会主義とも表現できる。ネオコンはそのイデオロギー的理屈づけに他ならない」
▲参考資料:巨大化する地下経済:草思社 インンタヴュー朝日新聞14 March 2004
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