VENUS AND SERENA:

カントリークラブ・スポーツ、女子テニス界の革命児と言われるアフリカ系アメリカ人姉妹、ヴィーナスとセリーナが大西洋を挟み同日(2/28)優勝を果たした。大きな大会での優勝はまだないものの昨年USオープンでヴィーナスは本命の一人にあげられ今年のフレンチオープンでも人気は高かった。
激しい試合後の握手をはねつける、自分がナンバーワンと自慢するなどウイリアムズ姉妹はいつも思いがけないことをしてきた。互いによく似た肉体的強さと男性級(201キロ)のサーヴ、超大胆なスタイルと独特の成功への道で気まぐれなファンと熱狂的ファン両方の注目をとらえる。
カリフォルニア、コンプトンのけちな通りで頭角を現す二人は切れたラケットのネットみたいにテニス界の一般通念をずたずたに裂いてきた。トーナメントをすっぽかす。喧嘩をふっかける。そして二人を保護する家族の温かい皮膜にくるまれるなど。議論のあるウイリアムズ流は主として父でありコーチ、「天才」「人種差別者」「子供の才能を無駄にする老いぼれ馬」などと呼ばれてるリチャードの意図が大きい。でもここまでは彼のやり方で正解だった。
人を威嚇する二人のスタイルにはすでに大金が支払われている。18歳のヴィーナスにはリーボックとの1,200万ドルの契約があり17歳のセリーナにはプーマとの同額の契約があった。
とはいえ、時々二人は制しきれなくなる。昨年ウインブルドンの準々決勝の試合ではラインぎりぎりの判定がアウトになりヴィーナスは涙ながらの癇癪を起こした。同じくフレンチオープンではあと2ポイントでサンチェスを打ち負かすというときに集中力を失ったセリーナがサンチェスの頭めがけてショットを打ち謝りもしなかった。幾らかは年齢のなせるわざ。二人は自分でデザインしたウエブ・ページのことでちゃかし合い、毎日電子メールでやりとりする普通のティーンエイジャーだ。
どうやらウイリアムズ流がありきたりになることはなさそうだ。もう二人に指導など必要ないと考えた父親はトーナメントに顔を出さない。ヴィーナスが例のサーヴをどぶに捨てて彼女の夢「並みの人間が着る服」のデザイナーになる?というのもありかもしれない。
ともかくNBA のスター、コービ・ブライアントが言うように「バスケットとフットボールしかないと思っていた多くのマイノリティーが今じゃ自分の仕事をしっかりする女の子たちに釘付けになっている」

◆参考資料: NEWSWEEK Aug.1998 朝日新聞3/2 1999(TAMA- 24 掲載、1999 SIZZLE )