SECRET WAR :

CIA には国家の安全に関わる任務を遂行する特権と、その手段と情報源を公表しない権限がある。
「私の経歴はCIA と海兵隊とCIA の3つの秘密戦争だ」と述べる元CIA アンゴラ機動部隊長官ジョン・ストックウェルは、「第三次世界大戦という名の第三世界の戦争」を調査した結果、私たちが攻撃していたのはソ連ではなく第三世界の人々だということが明らかになったとして、その戦争の意味を説明する:
第三次世界大戦と呼ぶのは、人命の損失や破壊の規模として史上3番目に血なまぐさい戦争と言えるからだ。CIA は地球上のあらゆる場所で活動している。合衆国の法律の枠をはるかに超えた権限を保持し、必要とあれば殺人を行う権限も麻薬を密輸する権限もその他国際法を踏みにじるばかりか、平和で暮らしやすい世の中を築こうとするすべての道義に反するさまざまな活動を行う権限まで保持していた。 CIA による秘密裏の戦争については膨大な資料がある。もう憶測の必要もない。1975年上院議員チャーチ委員会の調査で初めて詳しい内部情報が得られた。この調査以前の14年間にCIA は900の大規模な作戦と3千の小規模な作戦に携わった。CIA 創設から40数年で3千の大規模作戦と1万の小規模作戦があったことになり、そのすべてが違法だった。そして多くが想像を超える血なまぐさい活動だった。
私たちはさまざまな手法で工作して、十分に機能していた他国の立憲民主主義を転覆させてきた。世界中で秘密の軍隊を組織して闘うよう仕向けてきた。ニカラグアのミスキート・インディアン、中東のクルド人、東南アジアのモン族など、少数民族に立ち上がって闘うよう仕向けた。そして私たちが世界中で暗殺団を組織していまだに資金援助しているのはもちろんのことだ。
CIA が極秘にしかけた工作とプロパガンダによってアメリカは朝鮮戦争に引きずり込まれた。朝鮮戦争では何百人という命が犠牲になった。ヴェトナム戦争の勃発も同じような経緯をたどった。さらにCIA が関わったことを示す莫大な資料がある。
複数の機関と共謀してヴェトナム戦争へと誘導する世論操作をしたあげく、黄金の三角地帯を築いたCIA エア・アメリカの飛行機が同盟部隊に武器を輸送する代わりにヘロインを積んで戻ってきた。 私たちはアフガニスタンで最大の作戦を展開させた。カーター大統領が始めたこれはCIA の秘密戦争の中でも最も大規模な作戦だったと聞いている。そして瞬く間に黄金の三日月地帯を築き上げた。今でもここはヘロイン原産地として世界最大のはずだ。
この「第三世界に対する戦争」を要約すれば、CIA と国家安全保障機関とが軍と相互に絡み合いながらさまざまな形で進めてきた戦争だ。最低でも600万人の第三世界の人々が殺された。これが私たちが押し進めてきた40数年間の戦争の結果だ。

▲フランク・ドリル編集のヴィデオ<第三世界に対する戦争:アメリカの外交政策の真実>第2章より抜粋
●ジョン・ストックウェルはCIA 退職者で、議会で証言した最も地位の高いCIA 高官だ。ヴェトナムではCIA の機密情報収集基地を運営、1973年と1976年にはアンゴラの極秘戦争の機動部隊長官を務める。 著書<敵を求めて>は世界的なベストセラーになる。