PUMPING IRON:

夢のカリフォルニア州知事になったシュワルツネーガーは、77年のドキュメンタリー映画<ポンピングアイアン:鉄の筋肉>に収まるインタヴューの中で「私はヒットラーを賞賛します。理由は無学の小者なのに大きな権力を握ったからです。彼がスタジアムを満杯にする国民の前で演説したとき聴衆は熱狂的に泣き叫びました。彼がなにを言ってもそれに合意しました。私もそんなヒットラーみたいな経験をしてみたい」と語った。だが将来有罪証拠になりそうな100時間のインタヴューを数年前にすでに1億円で買い取っていた。
彼の父親はオーストリアで悪名高いナチス軍に志願して、党の幹部まで登り詰めた。ブッシュの祖父もまた若きヒットラーの重要な支援者で、ユニオン銀行を通じ成長期のナチス党に多額の資金援助をし続けた。機密漏洩疑惑でやり玉に挙がるブッシュの右腕カール・ローブの祖父はナチス党の運営を助け、処刑収容所の建設を援助した。
シュワルツネーガーの州知事選立候補にはウラがある。人の軽蔑を招いて然るべき本物のスキャンダルは10年前のセクハラ行為ではなくこちらのほうだ。
カリフォルニア州は2004年には80億ドルの赤字になる。ブッシュの背負い込んだ8兆ドルの赤字と余計な損失の横でははした金でも、カリフォルニアの右翼がデイヴィス知事のリンチに使う吊し首のロープだった。デイヴィスと対抗馬のブスタマンテはエンロンやテキサスの悪党どもに不法に吸い取られた90億ドルを取り戻す直接行動に出ていた。だがシュワルツネーガーが選ばれれば「さらば90億ドル」。電力帝王が口笛を吹けば彼はホテルにやって来る。筋肉男が軟弱男になって、エンロンの首領ケネス・レイの膝の上で丸くなる。
2001年5月ロスのペニンシュラホテルでケネス・レイと合意の上で政治的交渉を持ったこと、90億ドルを返還させる民事訴訟を妨害するキャンペーンに加わったことを暴く34ページのエンロン内部メモを見つけたのは納税者と消費者の権利を守る財団だった。

▲参考資料:truthout.org commondreams.org The Observer by Greg Palast Oct.03 2003(TAMA-34掲載、Jan.2004 )