CASSINI:

1999年8月18日、NASA はカッシーニ宇宙探査機が地球の周りを低空飛行する作戦計画を実行した。
宇宙船カッシーニ号は35キロものプルトニウムを船内に積んで毎秒10マイルを超える最速でふとした偶然で起こりうる地球の大気圏再突入からわずかに外れた軌道を飛行している。もしそれが大気圏内に落ちてくると摂取できる形で40万キュリーを超える放射能エネルギーが放射されて何百万の死者とこの先何世代にもわたり計り知れない被害が生じることになる。そしてこの地球で人が健康に生きるのがほぼ絶望的になる。
この理性のない決定、他に選択肢はなかったとする非常識な主張の解答はNASA とペンタゴンの提携にあるようだ。「宇宙に原子力を」の意欲を支える論拠は合衆国空軍の報告書「新世界展望:21世紀の空軍力と宇宙力」に見いだせる。この先20年でテクノロジーは圧倒的効力の宇宙を拠点にした兵器の守備を可能にさせる。ハイパワーの大量殺人を可能にさせる現実世界のテクノロジーは宇宙の原子力だ。
アメリカの宇宙を拠点にした支配キャンペーンを支えるのは巨額の金と腕力と大々的なメディアの影響力だ。NASA の民間人宇宙探査の任務にもこの原子力使用が織り込まれる。 核の選択を国民が容認する道を開くのにここでも偽情報が大きな役割を演じた。統計ではカッシーニのミッションが失敗するリスクは10%から12%とするのに、NASA は100万分の一と大災害のリスクを控えめに公表した。地球の大気圏への不注意な再突入は世界人口50億の99%が放射線の照射を受けかねないほど広範囲にプルトニウムをまき散らすのに、「仮に事故が起きても全住民に危害を及ぼさないも同然」と明言した。
アメリカの国益は戦争をし続けることにある。レーガン政権時代の官僚でイラク攻撃を先頭に立って煽ったシンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所のマイケル・レディーンは「安定を求めるのはアメリカにふさわしくない。我々の国は創造的破壊をする国だ」と明確だ。

▲参考資料:Flyby News NoFlyby July 21 1999(TAMA-34掲載、Jan.2004 )