BECHTEL :

ブッシュ政権との癒着が取りざたされる、人権と環境破壊で悪名高いアメリカ大手総合土木建設業者「ベクテル社」は、イラクでの戦闘終結宣言がなされた2003年4月17日、水道、電気、道路、飛行場などイラクの基幹施設の再建を入札などの競争もなく政府の国際開発局から請け負った。それは18ヶ月で総額6億84万ドルという莫大な契約だ。
サンフランシスコに本社のあるベクテルは創業100年以上の株式非公開の同族企業だ。1898年の鉄道建設に始まり、ウエストコーストの道路、鉄道、トンネル、橋、ダムの建設を手がけ、1950年代には国内22州に45基の原子力発電所を建設した。これに加え、ベクテル社のプロジェクトには石油化学関連施設、核兵器関連施設、石油パイプライン、地下鉱物採掘事業、水道関連設備などの建設事業がある。1930年代のフーバー・ダム、アラスカ・オイルライン建設がこれに含まれた。また 国内だけではなく、これまでに140ヶ国に及び2万件以上の実績があり、全世界の石油プラントの大部分、原子力発電所の半数以上を建設した。それに世界最大のダム建設業者でもあった。
水力・火力・原子力と世界のエネルギーを一手に握る企業に成長したベクテル社の成功の裏には共和党政権との深いつながりがあり、アメリカ国際開発局、輸出入銀行、世界銀行の融資を受けて世界各地で開発事業を手がけたことがあった。32億ドルの資産を所有するとフォーブズ誌が報告する世界で最も裕福な人のひとり、CEO の ライリー・ベクテルは昨年2月、ブッシュの輸出諮問委員会メンバーに任命される。元社長、現最高顧問のジョージ・シュルツはレーガン政権下の国務長官。元副社長のワインバーガーは国防長官だ。1999年から2002年の政治献金額は130万3千765ドル、その59%が共和党に渡った。

以下、ベクテル社の人権侵害、環境・健康破壊の実例:Peace Choice Net
●1970年代、ベクテル社はパプアニューギニアで世界一の金鉱発掘作業に参加したが、大量の有毒物質を地域の河川に投棄したことでその責任が問われている。
●ベクテル社はシェル石油と共同でインタージェンという名の会社をつくり、メキシコ国境に位置するメヒカリ(メキシコ・バッハカリフォルニア)に発電所を建設した。この発電所建設は、米国の環境法の規制から逃れて、国境を越えたメキシコから米国へ電力を輸出する目的で行われたものである。この不正を追及していた環境と人権保護活動団体は告訴をおこない、2003年5月に法廷は米国エネルギー省と土地管理局がインタージェンに対して発電所建設の許可を不法に与えたことを認める判決を下している。
●ボリビア政府から水道の民営化工事を請け負ったベクテル社は、ボリビアの第三の都市であるコチャバンバで水道の民営化工事をおこない、その結果、水道料金が1.5倍〜3倍に値上がりした。最低給与が一ヶ月に60ドルという貧困地区で人々は20ドル以上の水道料金を支払わなければならなくなり、その結果、貧困層の住民は水道を利用できなくなるという事態が生じた。国連は、飲水への適切なアクセスが基本的人権で認められていることを宣言しているが、住民は自分達の飲水を取り戻すために立ち上がり大きな抗議行動をおこなった。ボリビア政府とベクテル社は住民の弾圧に動いたが、最後にはボリビア政府がベクテル社との契約を解除。その後、同社は契約解除による損害賠償(2500万ドル)を求めてボリビア政府と世界銀行の法廷で争っている。
●ベクテル社は原子力発電所に関する重大な災難を引き起こした米国内6ヶ所(米国ペンシルバニア州スリーマイル島での大事件を含む)の原子力発電所の建設に関わっている。
●ベクテル社はネバダ州ユッカ・マウンテンにおいて計画されている核廃棄物貯蔵施設の建設管理・監督を請け負った。この施設が計画されている場所はネイティブ・アメリカンのウェスト・ショショニ族が代々神聖な場所として敬っていたところであり、先住民とアメリカ政府の間で長年、施設選定についての議論が沸き起こっていた場所でもある。
●さらに同社は、ネバダ州にある核実験場所(ネバダ・テスト・サイト)とテロリズムに対抗するための施設も管理監督している。対テロリズムのための施設は核兵器と生物化学兵器の生産と実験をおこなう目的で作られているが、この施設の稼動が周辺地域の環境と人々の健康に及ぼす悪影響が懸念されており、ネイティブ・アメリカンの人々と核兵器廃絶運動を進める人々の間でこの施設に対する反対運動が湧き起こっている。

続いて注目すべきベクテル社とイラクとの関係:
●ベクテル社は1970年代から1980年代末にかけてミサイルや化学・生物兵器生産のための部品、材料、訓練および支援をイラク政府に提供していた米国企業24社のなかの一社である。同時期にはイラク政府によるクルド人への化学兵器の使用など、最も激しい人権侵害が報告されている。
●1983年と1984年にラムズフェルド国防長官はレーガン政権の特使としてイラクを訪れ、イラクからヨルダンを通って紅海に面したアカバ港までの石油パイプラインをベクテル社が建設する計画を薦めた。しかし、その計画はフセイン政権に拒否されている。
●ボリビアのコチャバンバの例のように、ベクテル社の過去の水道民営化に関する企業責任が問われていることから、現在、同社がイラクで請け負っている水道事業についても同様の問題が懸念されている。「復興」事業という名目で水道のような社会基盤施設が営利事業にすりかえられれば、イラクの人々の生活は根底から破壊されることになる。

▲ピースチョイス情報29より抜粋 July 10 2003 www.bechtel.com http://www.3chan.net/%7Epeacechoice/index.htm