SARS:

ジャレド・ダイアモンドの<銃、病原菌、鉄>の読者は病原菌が幾つもの文明の没落の原因なのを知っている。中国広東省から発生した新しいウイルスによる重症急性呼吸器症候群 SARS は文明殺人犯には似てないようだし、1918年のインフルエンザウイルス(スペイン風邪)ほどには酷くない。それでも病原菌はテロリズムより遙かに大きな脅威をもたらすということだ。専門家が恐れるのは世界中に拡大するのを防ぐにはもう遅すぎるということ。そしてすでに香港の多くのビジネスを麻痺させ、世界中の航空機での旅行を下落させていることでわかるようにSARS という病気が重要な経済的帰結を含んでいることだ。
アメリカでも日本でもここまで広がらないにせよ(慎重な考えではないが)SARS は私たちの経済に深刻なダメージを与えることができる。なぜなら世界は密接に相互依存しているからだ。広東は情報技術世界の工場で、企業が購入する無線コンピュータネットワークの構成部品の設備が集中している場所だ。ウイルスはすでに生産を妨害している。現地の労働者というより海外の経営者や技術者、取引先がそこの工場を訪れるのを恐れているからだ。北京のナショナルの工場も2カ所閉鎖された。中国に依存している部分を国内で代替生産した場合のことを試算する会社も出ている。これは何かの陰謀だろうか。

▲参考資料:New York Times 4/4 2003 by Paul Krugman
<銃、病原菌、鉄>ジャレド・ダイアモンド:草思社