GO PILL:

昨年4/17、アメリカ空軍第183戦闘航空団の2人の少佐がアフガニスタンのカンダハルで訓練中の地上のカナダ兵を敵と思って誤爆、4人が死亡、8人が負傷する事件が起きた。事件の1週間前このパイロットたちは疲労を訴え、次の任務まで12時間あける常識がないがしろにされていると指揮官に不満を表明した。指揮官の助言は「泣き言は止めろ。軍医のところに行ってクスリをもらってこい」だった。
軍法会議を決定する審議で弁護側はカナダ兵を殺したのはパイロットではなく、兵士が「ゴー・ピル」の愛称で呼ぶ空軍が処方した覚醒剤のアンフェタミン(通称スピード)だと主張した。 湾岸戦争当時、パイロットがゴー・ピルに中毒し、精神障害を生じたとの報告があり専門家のあいだでその使用が危惧された。深刻な副作用として異常行動、偏執狂、攻撃性、暴力行為、幻聴が挙げられ、今回の事件でレーザー誘導爆弾の投下が早すぎたのはクスリの特徴だとホワイトハウスの薬物問題最高顧問デュポン博士は指摘する。それでも第二次世界大戦、ヴェトナム戦争、湾岸戦争と兵士に大量のゴー・ピルを配布し続けてきた国防省は、肉体が眠気に負けるのを長時間にわたり戦闘態勢を維持できることからこの習慣を変えるつもりはない。アフガンとイラクに行くパイロットにゴー・ピルが必要との政策に変わりはなく、事実上パイロットに選択の余地はなかった。
また、イラクでは食料不足が1週間続き腹を空かせた前線の米兵がイラク民向け人道援助食料を食べていたことが発覚。「上層部は精密誘導兵器や空軍を重視しすぎて地上の兵士のことを忘れちまったんだろうよ」とベテラン兵士らが不満をぶちまけた。

▲参考資料:WIRED NEWS 2/10 2003 abcnews.com 朝日新聞4/15 2003