CHANNEL25:

モンゴル国営放送局のジャーナリストだったゾルビン・アルカイはメディア検査官が原稿すべてにチェックを入れて国民が本当に知るべきことを報道できない実態に嫌気がさして自分でケーブルTV 局を設立する。言論の自由を掲げるウランバートルのCHANNEL25 だ。
スポンサー探しから企画はもちろんのこと、番組のインタヴューもこなす彼が今一番力を注ぐのが民主化以降、日本など海外からの援助にもかかわらず一向に減らない失業者の数と閉鎖に追い込まれる地場産業など自立への活路が見えないこの国の現実を国民に正確に伝えることだった。これは各国からの援助が正しく使われていないから起きること。そして国を頼るばかりでなく、国民が自分で産業を興すことを考えるようにならなければ何も変わらないのを悟らせることだった。
カメラが映し出すのはマンホールの穴の底の暗闇で布を敷いて生活するマンホールチルドレンの実態。「ゴールドが出る」との噂にどこからともなく失業者が集まりだした政府が閉鎖した過去の金山、CHANNEL25 のねらいは違法行為というより命を粗末にしてもいつ崩れるともしれない穴の中に入っていく彼らのありのままの姿を伝えることにあった。 このケーブルTV 局は6年目にして黒字経営に転じている。

▲参考資料:BS1の番組「アジアWho's Who 」2002