BIG BROTHER AWARDS :

毎年プライヴァシー侵害で抜きんでた政府機関、企業、個人に対して贈られる「軍靴に踏みつけられた人の頭」をかたどった金色の像を欲しがるやつなどいないだろう。
どこの国の政府機関も企業も国民のプライヴァシーをますます踏みにじってきている。より効率のよいマーケティングとより強固な社会統制や市民監視に効果的なメカニズムを得ようと、たいてい不法に、桁外れのデータが収集、保管されデータ処理されている。21世紀の情報化社会ではどうやら犯罪を犯すことで犯罪と戦うのが法執行機関の解答らしい。 で、その法の監視人の監視は誰がする?
世界中の弁護士、学識者、コンサルタント、ジャーナリスト、公民権活動家で構成されるプライヴァシー・インターナショナルとそれに加盟する人権団体は今年の悪名高き「ビッグブラザー賞」を米国の司法長官アシュクロフトと米国オラクル社のCEO ラリー・エリソンに贈った。アシュクロフトはブッシュ政権に対する批判を国家への反逆と表現し通信傍受権限の無期限強化を求めるロビー活動を行ったことで「最悪の政府高官賞」を、エリソンは国民身分証制度に利用できるオラクル社運用の集中型データベースを熱烈に支持したことで「最悪の企業侵略者賞」を受賞した。アシュクロフトら高官の発言と彼らの広報係のマスメディアが議論や異議を裏切りと混同する今の風潮を作りだしている。

▲参考資料:WIRED NEWS 4/20,2002
●TAMA-32掲載、FALL 2002