GADHAFI :

最近はすっかりおとなしくなり、9.11後いち早くテロを非難して英米にすり寄る姿勢を見せているリビアの最高指導者カダフィ大佐がスポーツ紙を少しだけ賑わせている。 ワールドカップのリビア代表監督解任のトピック(スポニチ9/21,2002 )で、長男のサーディを試合に出さなかったのがイタリア人監督解任の理由だとか。またFIFA が2010年にはワールドカップをアフリカ大陸で開催するのはほぼ確実と読み、リビア開催を視野に入れてイタリアとギリシャのチーム買収にも触手を伸ばしている(毎日新聞8/7,2002 )。

あまり知られていなかったがカダフィには12年計画で進めている一大事業があった。サハラ砂漠を緑の園に変える大運河計画で、その第一期工事がすでに1991年9月10日に完成している。1986年4月レーガン大統領のリビア攻撃(カダフィの居住地を狙った攻撃では娘が殺害され自らも負傷した)の後すっかり鳴りを潜めていたカダフィは南部の砂漠の下にある氷河期の水源から全長1700キロにも及ぶ直径4メートルのパイプラインを北部の地中海沿岸まで張り巡らすという壮大な計画に84年から着手している。計画が完成すればリビアは一大農業国となり、周辺諸国に農作物や水を供給できるとして隣国エジプトに100万人の農業労働者の受け入れを申し出ている。工事費用は250億ドル。91年9/8付エジプト紙によると、農民には一家族当たり15エーカーの農地が与えられ、12月には100家族500人が出発する予定になっている。
86年10月、ワシントンポスト紙の記者ボブ・ウッドワードが入手したアメリカ国務省情報調査局の記録文書のコピーには、外国人ジャーナリストとカダフィ大佐を混乱に導くための情報工作計画が示されていた。「架空の事件を連続的に発生させることによりカダフィに精神的圧力を加え、側近が忠誠心を欠いているとか、アメリカ軍がリビアを再攻撃しようとしていると、信じ込ませる」
この工作計画はCIA 長官ケーシーや大統領補佐官ポインデクスターらに支持され、ホワイトハウスがこれの実行を決定している。もちろん「われわれは嘘をついていない」とレーガンはこれの認可をきっぱり否定した。
もうひとつ、86年4月21日号のタイム誌の表紙を飾ったカダフィの顔には極めて微妙で強力な効果を引き起こすサブリミナルの埋め込みがなされている。視聴者の知覚を通り越して直接、潜在意識に働きかけるサブリミナルの技術を用いた広告問題を追求しているウィルソン・ブライアン・キイが学生数人に催眠術をかけてタイム誌の表紙を見せたところ、カダフィがなにを考えているかの質問に全員が何のためらいもなく「殺せ!」と答えた。カダフィの右頬には大文字でデカく「KILL 」と埋め込まれていた。

▲「メディア・レイプ」ウィルソン・ブライアン・キイ:リブロポート
●TAMA- 7 掲載、FALL 1991