CASEROLAZOS :

銀行口座から現金はまともに引き出せなくても、誰も通貨ペソを信じなくても、アルゼンチン国民は生きる決意を取り戻したかに見える。
「我々は通貨のドル化を受け入れない」憎悪の的の財務大臣を解任し、昨年12/20 には大統領も辞職に追いやる大衆蜂起は大勢の自暴自棄の男女、社会保障も支援措置もなく何年も解雇されたままの労働者で始まり、貧乏になった中産階級がそこら中で窓から上体を乗り出すか町の中心地におもむきポットやフライパンをガンガン鳴らすアルゼンチン流の抗議、カセロラーソでこれに加わった。デモ参加者に慣例の組合や党の旗がないのは国民が否定してるのが1ペソ=1ドルの固定相場制ばかりか全世界に及ぶ力の中枢、多国籍企業と大銀行のマネーで過去25年贅沢に暮らしてきた支配階級とごく一部の反体制の労組を除く全組合なのを示している。大衆蜂起は経済危機を政治と腐敗した制度上の危機に変えていた。
銀行の90%産業の40%が国際資本に管理されるこの国にIMF は褒美でもやりたいほどでも結果は惨憺たるもの。支出を切り詰める必要のない国に切り詰めを迫りその国の経済自体を破壊してしまうIMF のやり方は97年東南アジアでも行われインドネシアはいまだに混乱から抜け出せず地域紛争で大勢が殺されているがIMF はその手口を変えようとしない。
昨年初めトルコが通貨危機に陥ったときブッシュ政権はこれほど冷たくなかった。IMF を通じて75億ドルを緊急融資させ危うかったトルコ政府を救った。イスラム原理主義政権ができる可能性があり米軍がイラク攻撃に使う軍事基地のあるトルコはアルゼンチンと違いアメリカの中東支配に欠かせない国だった。

▲参考資料:Le Monde diplomatique1/12, 2002 tanakanews.com 1/14, 1/17, 2002
●TAMA-31 掲載、2002