MICHAEL JORDAN:

偉大なアーティストとは世界を変えることのできる人で、私たちの日常の視覚・聴覚・触覚までも覆して、現実をこれまでとは違うやり方で知覚することを教えてくれるもの。
シカゴ・ブルズ時代、マイケル・ジョーダンはゴール近くから片手で入れるレイアップ・ショットではなくてダンク・ショットを入れた。コーチはそれが気に入らない。「これがオレのやり方だし、ゲームの創造性なんだよ。ディフェンスに応じてオレのシュートは変化する。つまり創造するわけだ。これがアフロ・アメリカン式のゲームだよ。昔からアメリカ人が教えられてきた伝統的なやり方じゃないが、オレにはこれが向いている」
ブルックリン生まれのジョーダンは街の通りや公園にあるバスケットコート、プレイグラウンドでアフロ・アメリカンの伝統から生まれたバスケットを覚えた。そしてノースカロライナ大学で次なるステップ、バスケットの知識を習得すると、生まれ持った跳躍力と俊敏さに技術が調和して人間がどれだけ完全な無重力状態でゲームを行えるか私たちに示した。「バスケットボールはより多彩になっていく。リバウンド、スティール、ブロックをこなして、コートを駆け抜けて得点するプレーヤーの時代。複数のポジションをこなせる多才なプレーヤーの時代になるだろう。これを最初にやったのが、そして有名にしたのがマジック・ジョンソンだ。バスケットの未来はここにある」
ジャズが好きだと言うジョーダンはいつもゲームのなかでなにか新しいことをやって人を驚かせようとする。そうすることで常に自分を高揚させるのが彼にはなにより重要だった。

▲TAMA- 4 掲載、1991