MOBILE MAGAZINE:

クルマに荷物を積み込み、放浪の旅に出て、目にしたものを書く。これはアメリカの由緒ある伝統だ。
マイケル・レーンとジム・クロッティは1986年、サンフランシスコから放浪の旅に出て、友人や家族に宛てた新聞のつもりで「MONK(修道士)」という世界で唯一のモービル・マガジン(移動雑誌)を作り始める。
「モンク」という名の由来はふたりの質素なライフスタイルを見た友人がつけたあだ名だったが、国中を遍歴して珍しい経験をした東洋の遊行僧の伝統を受け継ぐ意味もあった。 「MONK 」の特徴はクリスマスカード風のうち解けたおしゃべりにある。発行から5年、今では発行部数3万、年4回発行の定期購読が1万件に上る。ふたりが求めているのは自分なりの生き方をつかんでいる人。ふたりは旅を続け、路上で次の行き先を決める。そして関心を引く人物や物事がある限りそこに留まった。
クロッティが電話ボックスに陣取って地元の商店から広告を取り、レーンが長さ8メートルのモービルハウスでデザインや製作を処理していく。彼らは路上で発見したアメリカについて、ユニークな展望をもたらしている。

▲TAMA- 4 掲載、1991