FASCISM BY THE BOOK :

南仏プロバンス地方にあるオランジュはこれまで社会主義からドゴール主義、中道主義まで様々な思想の持ち主が市長に就任してきたが図書館の運営に口を出す市長はひとりもいなかった。ところが昨年、国民戦線(FN)のジャック・ボンパールが市長に就任すると図書館で異変が起き始める。フランス革命やラップ音楽の本が書棚から消え、FN に反対するミステリー作家の小説が破り取られた。さらに本の購入に市当局の許可が必要になり移民の多い北アフリカの作家の本や世界各地の民話集の購入が禁じられる。世界の文化に関する本が破棄される一方で新規購入リストには反ユダヤ主義やイタリーのファシストの作家の著書、ホロコーストを否定する本の名まで含まれた。
そしてまたFN が市政を制圧するトゥーロンでも「ラップは北アフリカ出身の移民が持ち込んだ文化でフランス人のアイデンティティに反する」という理由からラップ・コンサートが中止に追い込まれた。
彼らが実践してるのは党首ジャンマリー・ルペンの戦略「文化で精神をコントロールする」だ。フランス人の心は「世界に国境はない」という考えに蝕まれている。移民を排斥し、多様性を否定して、フランスの文化を救おうじゃないか! この考えに同調する人の数は国民の15%、今のところそれは上昇傾向にある。

●参考資料:NEWSWEEK aug.1996(TAMA-20 掲載、1996 chill )