「TAMA」とは、元々はパリ発ワールドミュージックで世界中に紹介されたミュージシャン、モリ・カンテの歌「TAMA」(旅をしなければよいお母さんにはなれないと歌う)にインスピレーションを受けたもので、西アフリカの言語で「旅」を意味する。またそれは人の違い文化の違いを受け入れる世界に通用する「まともな大人」としての自覚を持って生きることだと理解する。 サブカルペイパー「TAMA」は文字通り旅の路上やカフェやバーで交わされる習慣や考え方、言葉が異なる様々な人たちとの出会いと会話から生まれた。主流のメディアからは決して伝わってこないエキサイティングな政治・経済・文化を縦横に駆けめぐる内容のおしゃべり。音楽・アート・映画・文学などを通して世界の人たちの動きを旅人の視点で眺め、ニュースの表面からは見えなかったものが見えてくるような紙面空間を創りたい、そんな発想で1990年に発行にいたった。 大学生が一年間大学を休学して世界中を旅するのを奨励する北欧の国の若者が集まるタイのサムイ島、そのビーチに並ぶバンガローレストランでミグラント・トラヴェラーが交わす情報、タンジールのいかがわしいカフェあるいはリマの政治好きな芸術家や詐欺師が集まるミラフローレスのカフェでの雑然としてはいるが人生のエッセンスである皮肉とユーモアがたっぷりのサブカルチャーとしての会話体験。その場を取り囲む環境を伝えるファンジン、世界のニュースのサンプリングが すなわち「TAMA」、一枚のCDを聴くように一枚の絵「ニュースのコラージュ」を眺めるように、この「TAMA」を体験して欲しい。 そんなわけで、サブカルペイパー「TAMA」では特に社会の変化や人々のムーヴメントをより的確にとらえて伝えることのできる旅人からのメッセージを尊重して掲載する。また、保守化した社会に対抗する文化(カウンターカルチャー)として常に正直で、もうひとつの道を歩む勇気ある作家・アーティスト・ミュージシャンを取り上げるつもりだ。めざすのは、政治・経済・文化をひとつのループとして把握できる分け隔てのないフェアなものの見方と違いを尊重できる世界のコモンセンスを備えた「まともな大人」としての自覚を持って生きること。この思いが 「TAMA 」 の原動力だと思っている。
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