和田通信No.169 2002年2月号   発行 株式会社和田マネイジメント
   
工業化社会よ、さようなら。 サービス情報化社会よ、こんにちは!

 時代は刻々と動いている。この動きは新しい時代への変化でもある。だから転換期である。
 自ら新しい業態や事業を立ち上げてきた経営者達の口癖は次の2つ、「時流に適応しなければ駄 目」と「過去の成功体験ほど改革・革新にとって邪魔になるものはない」である。
 この二つの考え方は、ある面において共通点がある。だから経営者は現場に出たり、様々な分野の人達と会って常に感性を磨き、時代の流れを体感し、時代の流れを読む能力をつけなければならない。そして経営者として、また社員でも、今までやってきたやり方、販売方法や扱い商品などを常に改善していくという意識と能力を持ち続けていかなければならない。
 経営活動は「これでいいや!」と思った時から退歩してしまうものである。なぜなら、自分や自社以外の周辺、つまり競争相手やお客さんのニーズが刻々と変わっているからである。
  今、日本を代表するトヨタやホンダといった自動車メーカーが最高の利益を出しているのも常にお客さんのニーズを具現化した自動車開発をし続けているからだと断言しても過言ではないだろう。
 そこでは先輩達が創ってきた独自の生産システムやデザイン開発、そして常に時代に合ったお客さんのニーズを先取りしていく企業体質が社風として育まれてきたからである。
 ダニエル・ベルやピーター・ドラッカーは今から40年前にポスト工業化社会を予言した。アルビン・トフラーは来たるべき時代を“第三の波”と称して情報化社会の到来を予告した。そして今、ほぼ彼らの言った通 りに先進国はなりつつある。
 しかし、ここにもう一つの考え方を付加しておかなければならない。それは「循環型社会」を創らなければならないということである。つまり「ハードからソフトへ」「財価から知価へ」という価値基準の移動が起こり、消費物の廃棄についての問題が大変重要になってきた。
 つまり、リサイクル社会を一つの目標モデルとして築き上げなければ、地球自体がもたなくなってきているのである。温暖化、オゾン層破壊やゴミ処理の問題まで、様々な難題を抱えていることは言うまでもないことである。
 また、この十年、企業の倒産数が増え続けているが、これはこれから数年先もこの現象は続くであろう。この倒産現象はバブル経済が崩壊したから多くなったのだろうか?銀行が貸してくれなくなったからであろうか?会社の財務体力が弱くなったからであろうか?社長の経営のやり方がヘタクソだったからであろうか?これらをあげたらきりがない。
 時代は変化しているのである。先日、日本最後の石炭の採掘場が閉鎖されたというニュースがあった。北海道釧路でのことである。明治以降、約百年に渡り、石炭産業は日本近代化の基盤産業であった。残念ながら戦後の高度成長期をきっかけに電力のエネルギーは水から石油に、そして原子力に変わってきて、将来は“自然エネルギー”に変わる可能性が大きい。
 東京湾岸を見ても時代の流れがわかる。川崎を中心とした京浜工業地帯は大正時代に開発され、戦後の高度成長期にピークを迎えた。文字通 り、重厚長大産業を象徴とする工業コンビナートであった。しかし今やその役割をほぼ終わろうとしている。
 替わって浦安には東京ディズニーランドやディズニーシーなど、新しいコンビナートが生まれ、年間2,000万人もの人が来る。お台場には、ホテルやショッピングモール、テレビ局、テレコムセンター、あるいは東京ビッグサイトのようなコンベンションセンターが出現した。その周辺には、年間5,000万人が集まる。
 まさしく工業化社会から新しい産業を基盤とする“サービス情報社会”へ変わりつつあると言う象徴的な例である。
 建設業界も同様のことが言える。80兆円産業と言われるように日本最大の産業であって、バブルを代表する業界であるが、明らかにパイは小さくなりつつある。しかも不良債権を抱えているから、財務体力は弱くなっている。当然、淘汰は自然の成り行きである。その中から新しい業界に流れる人もいるだろうし、新しい事業にチャレンジしていく会社も多くなるだろう。
 人間の知恵は行動したところから生まれるものである。そういった面 でゼネコン業界は新しい局面に入った。だから混乱は続くのである。
 しかし、石炭産業のように完全消滅はない。宅急便はなぜ生まれたのであろうか?コンビニはなぜ生まれたのであろうか?人材派遣業はなぜ生まれたのであろうか?冠婚葬祭産業はなぜ生まれたのだろうか?そこには全て共通 点がある。つまり、“お客さんのニーズ”があったということである。そのニーズに挑戦し、知恵を出したからビジネスになったのである。
 日本は今後も大量生産規格商品は海外から輸入せざるを得ないのは、これもグローバル化の中で避けて通 れないことである。
 だからこそダッチロール状態の中で次への成長のチャンスを自らとらえていかなければならない。時代は“サービス情報化社会”になりつつあるのである。

 

1.アサヒビール48年ぶりに首位になる!
 ビール業界でついに奇跡が起こった。ガリバー「キリン」の首位 は絶対的なもので、「まず抜かれないだろう」というのが常識であった。しかし、その常識が破られ、新たなる伝説が生まれたのである。  2001年、ビール・発泡酒の年間販売数量で、アサヒはビールの「スーパードライ」が好調、そして2001年2月発売の発泡酒「本生」もヒットし、首位 獲得に貢献した。アサヒの数量は前年比9%増の2億1,700万ケース(1ケース=大瓶20本換算)で、キリンは6.6%減の2億120万ケース。アサヒがキリンを1,580万ケース上回った。これは1953年以来、48年ぶりのことである。

2.国内株式市場の売買,50%は外国人!
 東京証券取引所によると、2001年の投資主本体別 の株式売買動向では、東証・大証・名証の主要3市場で、売買代金を占める外国人投資家の割合は前年比9.4%増の51.8%になり、統計をとりはじめた82年以降、初めて50%を超えた。金額で約138兆円であった。

3.米企業の株式時価総額でGEが2年連続首位 に!
 2001年末のニューヨーク株式市場とナスダックに上場している企業の時価総額をみると、やはり高いシェアを持つ企業が上位 にあることがわかる。  GEは2年連続して首位になっている。 1位 :GE 3,982億ドル 2位:マイクロソフト 3,569億ドル 3位:エクソンモービル 2,688億ドル 4位:シティグループ 2,597億ドル 5位:ウォルマート 2,565億ドル 6位:ファイザー 2,505億ドル 7位:インテル 2,111億ドル 8位:IBM 2,074億ドル

4.日本一売っているバイキングブッフェレストラン!
 最近、超一流ホテルは別として、朝食はブッフェスタイルが多い。温泉地のホテル、旅館でもほとんどがこのスタイルを導入している。  米国の中西部に行くと「ブッフェ・レストラン」が多い。日本ではこのブッフェスタイルを“バイキング”と呼ぶが、その呼び方は日本独自のものである。  実は帝国ホテルの「インペリアルバイキング」が本家本元で、総料理長であった村上信夫氏がフランスから修行を終えて帰国する際、北欧を周った時に現地の「スモーガス・ボード」という料理を見て感動し、1958年に日本でマネをしたというのが始まりだったという。  現在も17階に「インペリアル・バイキング」というブッフェレストランがあるが、98年は29万5,000人、99年が31万1,000人、そして2000年には29万8,000人の客が訪れたという。  しかし今、日本で一番集客しているのは品川プリンスホテルの「ハプナ」であり、年間200万人が来店する。ちなみにランチの価格は帝国ホテルが5,000円、品川プリンスホテルは2,000円である。

5.2001年、新興3市場に147社が上場!
 2001年12月12日までに新興3市場に上場した企業は132社で、年内に16社が上場する予定である。合計147社になり、2000年に次ぐ高水準になる。一方、米店頭市場(ナスダック)はテロ事件やIT不況もあり、12月時点で53社にとどまっている。  また、上場会社131社のうち、初値が公募価格を上回ったのは95社に上る。市場別 ではジャスダックが97社(2000年と同数)。ナスダック・ジャパンは43社(昨年の10社増)。一方、マザーズは7社(同20社減)と大幅に落ち込んだ。

6.2001年に倒産した会社の負債総額、前年に次ぐ戦後2番目の額に!   By 東京商工リサーチ
  2001年の企業倒産は前年比2.1%増の1万9,164件だった。負債総額は30.8%減の16兆5,196億円。件数では17年ぶり、負債総額も前年に次ぐ高水準で、ともに戦後2番目、倒産した会社の社員数は22万人になり、これも戦後最高となった。2002年も倒産件数は増加するとの予想が出ており、2万件を突破する恐れもあるという。

7.破産申し立て、最悪の16万件に!
 全国の地裁への破産申し立て件数が2001年は16万件を突破。最高裁の集計によると2001年1〜10月における全国での申し立て件数は法人、個人併せて13万3,840件、前年同期より14%増えており、このペースで推移すると年間で約16万7,000件に達し、前年より2万件も増えることになる。

8.紳士服市場は年々縮む方向へ!
 2000年のメンズスーツの市場規模は前年比3.3%減の4,597億円となり、92年以来、8年連続のマイナスとなった。一方、中国をはじめとする海外からの輸入は増加しており、前年比で12.1%増の1,506万着と急増している。これらが価格低下や在庫膨張の原因にもなっている。  トップ企業の青山商事はピーク時の94年3月期の売上で1,823億円、経常利益で306億円を記録したが、その後は落ち込み、今期の経常利益は81億円程度の見通 しだという。アオキやコナカも業績が低迷している。  今や「安売り紳士服の郊外店」の“業態価値”がなくなってしまったのだから大変である。さらにこれから団塊世代が定年を迎え、スーツを着なくなる。これも成長を鈍らせる要因になる。

9.世界の貿易額(輸出)は6兆3千億ドル!  By IMF
 2001年の世界の貿易額(輸出額)は6兆3千億ドルで、前年を12%上回り、過去最高となった。主因は情報技術(IT)関連製品の輸出増と原油高である。  国別でみると、やはり中国の台頭が目立つ。1990年、中国のシェアは2%で第13位 であったが、2001年は4%で7位となった。トップは米国の12%、2位がドイツ、3位 が日本の8%である。